2008年8月10日は、猛暑が少しだけ和らいだ感がありました。前日から高崎入りして参加者の状況を把握し、再度カリキュラム調整を行っていた講師は、主催者とともに1時間前から会場に入って準備を始めました。今回も参加者たちは定刻より早くから集まり始め、10時前に全員が揃いました。
今回もカリキュラムはビギナー向けに大幅に変更しました。
音声収録は、知識と経験と判断力を要しますが、地方には音声専門セミナーがほとんどないため、勉強の機会がないばかりか、音声の重要性に気づかないまま撮影している取材陣が少なくありません。G-CONCEPTは、映像制作従事者向けに企画されたため、東京のテレビ局で活躍した音声マンを講師に招いていました。講師は、後進を育成する音声収録オーディオ塾を東京で運営する飯塚貞三氏です。
しかし、今年のG-CONCEPT参加者はビデオビギナーなので、いきなり音声の勉強をするのはハードルが高いため、オーディオ塾の日ごろのカリキュラムを思い切って改編していただき、時間のかかる理論編は最小限で切り上げ、機材と技術によって音声は大きく違ってくる、ということを実感させる内容を組んでいただきました。
すべての参加者に、いろいろなマイクの特性の違い、ミキサーの効力、ブーム振りを演習させるため、模擬記者会見シナリオを講師が書き下ろし、参加者は順番に体験学習しました。ほとんどの参加者にとって初めての経験でしたが、機材と技術の大切さを感じ取ってもらえるよう、講師は一人一人にていねいに指導していました。
ちょっと一息タイムには、ビデオ巻きやオーディオ巻きなどとも言われる8の字巻きの練習をしました。最初はとまどっていた大学1年生たちも、講師や先輩たちにアドバイスをもらって、またたく間に上達しました。
休み時間には、すでに経験を積んだ参加者からの個別の質問が続きました。講師は実際に機材を使って実践に役立つ指導をしました。
全員のミキサー演習をスピーカーで流して聴きました。参加者にとって、この先が遠く長い道のりとなるか、それとも最短距離で一定レベルに達するかは、聴き手の耳と心を想像できるかどうかにかかっています。いつかそれに気づいてくれる日が来ることを祈りつつ、講師と主催者も、参加者と一緒に耳を澄ましました。
講師は、最後に、尾須鷹山の日航機事故の取材体験を語りました。ほとんど初心者のような放送局の若者たちに、ごった返す現地で、たった2日間のレクチャーしかできずに、大丈夫だろうかと案じながら山に送り出したそうです。ところが、山から下りてきたときには、押しも押されぬ一人前の音声マンに成長して帰ってきた、と思ったそうです。彼らは若くもあったが、誰にも頼れない状況で頑張れば、人間にはできなかったことができるようになる力がある、みなさんも頑張ってください、という言葉を参加者に贈って、セミナーを終えました。
音声や音は、映像と並ぶメジャーメディアです。この重要性を理解しているドキュメンタリー作品が群馬で創られることを祈って、今後も群馬情報メディア機構は、音声収録教育に力を注ぎたいと思います。